花粉症の治療


病気の原因、すなわち本治法の考え方としては、春という陽気が動き始める季節に生体が季節についていけないために起こります。
つまり、形態を季節に同調さ
せるという動的恒常性が乱れて、春なのに身体が冷えたままの状態にあるということです。
季節と身体の関係ですから、地の理論で考えます。弁証表では、内因の形の邪気 飲食で外寒実証の肝の証や、同じく内寒実証で腎の証が選択の候補です。
外因
では地の邪気で外寒証で肝の証や、内寒証で脾の証となります。
花粉症が主訴であれば、このような弁証で良いのですが、他に明確な病体があればそちらに対する証を優先にします。その場合は、標治法として対応します。

花粉症の時は、特有のつぼ反応が現れます。
右肘関節前・外下方に、熱をもった
きょろきょろとした塊が現れます。
大豆のように丸くてはっきりした硬さのある
ものや、柔らかめで縦長のものもあります。症状がひどいほど、塊が明確に出ているようです。
経穴でいえば、大腸経の曲池穴・手三里穴と肺経の尺沢穴・孔最
穴に囲まれたエリアにあります。
私はこれを「花粉点」と呼んでいます。なぜかはわかりませんが、右側だけに現れるのです。

一般的な標治法は、督脈を使って頸から上の熱を下げることをします。水や金のエリアから行うことが多いです。
銅鍼を使って頭部の熱をとる方法もありますが、きりがありません。
私は、花粉
点の反応を減らすことを、花粉症に対する直接的な標治法としています。
その方法は、右側の太淵穴あたりから母指球内縁にかけて、僅かな熱感を感じる反応がありますので、そこにまず施術します。
この熱は体表にあるもので、硬結
はありません。気としての反応ですね。
反応帯の中で、最も熱感がある所、おお
むね太淵穴あたりに刺鍼します。鍼先は指端に向けます。
その後花粉点には、銅
鍼にて直接熱抜きをします。
花粉点の熱感が減少したり、硬結反応の形が変化し
たりします。
熱が減ることが大事で、硬結は柔らかくなる程度でよいです。私は、
さらに太淵穴に透熱灸を3壮と花粉点に直接1壮施灸します。
花粉点から太渕穴のラインが、熱っぽさがなくなり凸凹も平らになり、すっきりした感じになります。この時に、患者さんのお腹が鳴ることが多いです。そのほうが、効果が出やすいと感じています。
花粉点は、移動します。施術する時は、最も反応している所をしっかりと把握してください。
今年私は、季節が進むにつれて花粉点は肘関節に近くなり、太渕穴
の反応は労宮穴方向に下がっているように感じています。